Avarice1776’s blog

マーケティングや仕事に関するTipsや思考について

日本は貧乏になったという記事が巷に溢れている件。

最近始まった話ではないのですが、「日本が貧乏になった」という自虐的な記事をよく見かけます。その根拠になっているのが、平均給与が400万円から伸びていない、一人当たりのGDPの順位が下がり続けている。というのが主な根拠です。

その原因によく上げられるのが、「日本人は生産性が低い」ということです。本当でしょうか?

労働分配率が他国に比べて低い。」わけではない。

給料に関わる重要な指標として「労働分配率」があります。これは企業があげた付加価値のうち何%が人件費として社員に分配されているか。を示す数値(人件費÷付加価値)です。この数値は統計の取り方でも変わりますが、日本は70%~80%の間で上下しており、米国とEUの中間ぐらいの値を取っています。つまり、企業が人件費を出し渋っているわけではない、ということが分かります。

 

「日本人は働きすぎ。」てはいない。

これは昔から言われていることで、ワーカーホリックだ、家族を犠牲にしている、過労死がということは昔から言われていました。労働生産性が低いと言うと、日本人は無駄な残業が多いからと思う様です。しかしながら、現在の日本人の労働時間はOECDの平均を下回っています。ドイツやフランスはずば抜けて低いですが、韓国やメキシコより300時間近く労働時間は少なくなっています。もはや働きすぎとは言えない国になっています。

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でも、平均給与は日本400万円、米国500万円、ドイツ600万円。この違いはどこからくるの?

平均給与の違いは何処から来るのでしょうか?もちろん非正規雇用の問題などもあるのですが、一番大きなポイントは一つの仕事に関わる社員が欧米より多いことです。単純化すると、ドイツの企業では1億円の売上を上げるのに1人の社員が行っています。彼の給与は600万円です。一方で、日本の企業では1億円の売上を上げるのに、1.5人が関わっています。労働分配率は同じですから、日本の社員に支払われる給料は600万円÷1.5=400万円です。

現状のからくりは分かりましたね?

日本の生産性の低さは「個人」ではなく「組織」の問題

日本で1.5人で仕事をしているからといって、日本人の能力が低いわけではありません。ではその0.5人の人は何をしているのでしょうか?結果から言うと何もしていません。決してサボっているわけではないですしかし、生産性への寄与という面ではなんら貢献していないのです。

あなたの会社にもありませんか?会議の為の会議、一つの案件と通すために3回、4回の承認会議が必要。本来その場で決めて欲しいのに良くわからない理由で決定が先送りになる。リーダーが複数人いて誰がリードしているか分からないプロジェクト。

こういった本来効率化できる仕事に寄生して生産性に寄与しない(むしろ足を引っ張る)人が日本企業には30%ほどいます。こういった人がいなくなるだけで、

1、意思決定がスムーズになる

2、会社の競争力が上がる

3、会社の収益が上がる

4、社員の給与が上がる

5、優秀な人材が入社する

という、好循環が生まれます。一方で、その会社では足を引っ張っていた人材も他の会社に行けば価値を生み出す側にかわる可能性があります。こういった事実に気づいていち早く対応が取れる会社は今後も生き残っていくのでしょうね。

日本が取り立てて貧乏になったわけではない

この様に、日本全体としては取り立てて貧乏になっているわけではなく、唯一成功した社会主義国と日本が言われる様に、仕事をしない(本人はしてるつもりなのが難しい問題)30%の社員を日本企業は抱えている為に、仲良く給与を分け合っている。結果としてこの20年間日本の平均給与は上がっていないということになります。

体力あるうちに、会社組織、雇用形態の劇的な変革が必要です。長期的に見れば、変われない企業は非常に非効率な経営をしていることになるので、競争力が落ちていくことになると思います。