Avarice1776’s blog

マーケティングや仕事に関するTipsや思考について

ワクチンと死亡の因果関係の調べかた

新型コロナのワクチンが世界的に広まっている中、人によっては「副作用*が怖い」、「将来どうなるか分からない」といって接種を拒否する人もいます。そういった不安をもってしまう原因の一つに、ワクチン接種と死亡に関する因果関係が中々証明されないことへの不信感があるように思えます。その辺りを少し説明したいと思います。

*:日本では副反応と言いますが、こんな言い方するのは日本と漢字圏だけなのであえて副反応という言葉は使わないようにしています。

意外とめんどくさい因果関係の証明

多分みなさんが想像するより「因果関係の証明」は回りくどい方法を使うので下記の話を聞いてもすっきりはしないと思います。

ワクチンに限らず副作用と投与された薬剤の関係の証明には大きく

①生化学的な原因が明確。であるか

統計学に因果関係を否定できない。

である必要があります。

化学反応的な因果関係が証明されれば非常に分かりやすい!

①は分かりやすい例は昔の抗がん剤です。抗がん剤の基本的な作用機序は細胞が増殖する事を阻害することです。がん細胞の増殖も止めますが、全身に薬剤が行きわたると健康な細胞にも影響を与えてしまいます。一番分かりやすい結果として、毛根の細胞増殖が阻害されて髪が抜けてしまいます。この辺りは、薬剤の作用機序的に関係性が明確な上、実験等でも確認されているので、「因果関係」有りが証明されていると言えます。

統計学的な因果関係の証明は分かり難い!

②に関して、例えば今回のウイルスベクターワクチンの血栓死亡例に関しては、ウイルスベクター血栓形成の生化学的な因果関係は分かっていません(いくつかの仮説は存在する)なので、①の観点で因果関係を証明するのは相当時間がかかります。そうすると、②の検証が必要です。

実は特に高齢者において血栓ができることはそれほど珍しくはありません。世界の4人に1人が血栓で死亡しています。ワクチン接種後に血栓で死亡した場合でも、ワクチンを接種したグループの方が非接種のグループより血栓で死亡した割合が高いことを統計学(カイ2乗検定等)で証明しないとダメです。

つまり、世界でワクチンを打った1億人の高齢者とワクチンを打っていない1億人の中で観察期間中に血栓で亡くなった人を比較するということが必要になります。既に、世界中に解析が行われていますが、現時点ではワクチン接種後に血栓で亡くなった人の数がそれほど多くは無いため、「因果関係は無い」ということになっているのだと思います。

一方で、統計学的有意差はありませんが、数値上は明らかにワクチン接種後の方が血栓が増えているので、ウイルスベクターワクチン接種により血栓形成の傾向が強まる。そういう表現になっているのが現時点での評価だと思われます。

現状顕在化しているリスクとワクチンによるベネフィットを考えると、現時点では明らかにワクチンを接種した方が良い。

私は既にワクチンを接種しましたが、自身の重症化を心配するというより住んでいる集団(コミュニティ)が安心な環境にならないと、様々な行動制限を受けます。これを一日でも早く解消したいと考えているので、積極的にワクチンを受けに行きました。

日本でも現在はワクチンを受けにくい状態なので、受けたい!という気持ちが前面に見えますが、これがいつでもだれでも打てるようになると途端に関心を失ってしまいます。ぜひ、積極的にワクチンを受けて日常生活を早く取り戻したいですね。